ボラボラ島が呼んでいる。




2008年 10月3日 金曜日 「Nei Yuzen Art EXhibition」をおえて



 遥かかなたの海上から流れ来る爽やかな風に身をまかせて、Neiは水上バンガローのデッキの椅子にまどろんでいた。夢なのか、再びこの地を訪れて作品を飾りつけている。
まだ、描いたことのないボラボラの絵が、そこには確かにあった。


 ボラボラでの作品展はNEIの漠然とした夢だった。
個展に展示できるくらいに作品が増え、当面の目標だった東京での友禅アート展が終了。さて、次ぎは沖縄で暮しながら創作三昧の時間に身を置きたい.
......と考えていた矢先、乳ガンの宣告。
「骨に転移してます、もう手立てはありません。」
宣告から1年後、もっと描きたかった....という言葉を遺してNei逝去。
いつしかボクの中で、Neiの漠然とした夢が現実可能な希望に変わっていった。


 そんな折り、Neiの訪れ描いたホテルボラボラが改装のため取壊されると聞く。
時はいま、今こそ無い。急かされる思いでホテルに交渉。作品の輸出や準備に追われ時が風となって流れた。ボラボラの飛行場でボートに作品を積み込み、ホテルのある島へ向う。正面にそびえるオテマヌ山を眺めると、初めてNeiと訪れた日のことが蘇る。
゛あゝやっと戻ってきた″という思いが全身をめぐる。
あの日から13年が流れ、デジャヴ(既視体験)は現実となり、
Neiのまどろんだ椅子にNeiの作品が置かれた。


 アーティストの来場、新聞記者の取材などもあって、ホテルの方々の心あたたまる協力をいただきながら「Nei Yuzen Art Exhibition」も好評のうちに終了。
 新しいホテルボラボラにまたNeiの作品を飾れる可能性を持ちつつ、ボラボラを後にした。
機上から眺めるオテマヌ山は、その険しい山肌で、
しっかりやれと、鼓舞しているかのようだった。


(文責/盛 栗太郎)

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