八重山友禅染めの工程

 八重山友禅作家 ネイ

 八重山友禅染めとは

 


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小さいもので3か月、大きいもので半年もの月日がかかります。
白い絹地が1枚の絵として完成するまでには、およそ26もの工程があるからです。
主な工程を説明しましょう。

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1、下絵

絹地に青花で下絵を描きます。青花(つゆ草の汁)は水に流れ、跡が残らないのです。手早く描かないと青花がにじんでしまうので熟練を要します。
「下絵の前の構図に一番時間がかかります。色を考え、楽しみながら行っています。」とこともなげに語る作家の言葉には、自信があふれていました。

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2、糸目

筒に糊(防染糊)を入れ、下絵の青花に糊を置いていきます。糊の置かれた部分は染まらずに絹の白が最後まで残ります。筒に入れた糊が柔らかければシャープな線が出ず、糊が固すぎると線が切れてしまうので、これも神経を使います。昔から糸目は男仕事といわれるほど筒をしぼる親指に力がかかり、親指が痛くなるほど。ねいの親指もすこし内側に曲がっていました。

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3、色作り

粉の染料を混ぜあわせ、水に溶いて染めに使う色を作ります。染料が溶けやすいように下からコンロで温めます。色の濃淡、明るさなど、必要な色を必要な量だけ用意します。作られた染料は長期の保存がきかないので、絵の制作中は幾度となく色づくりがおこなわれます。「思うような色が作れた時は、思わずニンマリ」だとか。


4、色差し

いよいよ色を入れていきま
す。糸目糊の内側に染料を挿しこみます。よく染まるように、生地の下から火であぶりながら行います。「はみ出さないように、ムラにならないように....この創作過程が一番気を配りますね」
ぼかし筆、刷毛たたき.....様々な技法で色彩が広がっていきます。

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5、蒸し

全面に色が入ったら、数日おいて蒸します。100℃の蒸気で30分~50分。絹地に染料をしっかりと定着させます。はたして色がきれいに出るか「何度やってもちょっと不安」だとか。

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6、水元

蒸しあがったら次は水洗いです。余分な染料と糸目糊を流水でたんねんに洗い流します。作業の中で一番のダイゴ味「友禅流し」糸目がとれて画が浮きあがってくる時が一番楽しい時。糸目糊のあとには友禅独特の白い輪郭が現われます。

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7、仕上げ

水分をタオルで取り除き自然乾燥させます。アイロンをかけて台紙に貼り額装します。

下絵から始まった作業も、数か月後にようやく1枚の絵として完成しました。